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  • 執筆者の写真Masaki Nagaya

守りたい店。


私は写真も文章も独学。ゆえに、師匠はいない。が、勝手に師匠と呼んでいる人はいる。『おとなの週末』の初代編集担当のアサイ師匠である。

「あー、オレだ。○月○日から一泊二日で名古屋へ行くから。イイ店、探しとけ」

師匠はいつも名乗らずに電話をかけてくる。しかも話が一方的。でも、私は「ハイ」としか言えない。

「イイ店、探しとけ」というのは、客に扮して店を訪れて、味や雰囲気、サービスをリサーチする、いわゆる「覆面取材」の候補を探しておくように、ということだ。この日と翌日の2日間で師匠と6~7軒食べ歩いた。が、師匠の口に合わなかったり、サービスが悪かったりで

「オレをくだらねぇ店に連れて行きやがって!この野郎!」と何度も叱られた。私は祈るような気持ちで次の店へ師匠を案内した。

結局、6~7軒を覆面取材した中で、師匠から「OK」が出たのは半分にも満たなかった。その中の1軒が、名古屋市東区東桜の料亭『旬彩 神楽家』だった。当時は料亭というよりも、もう少しカジュアルな和食店だったと思う。

味も雰囲気もサービスも良く、あれほど辛口の師匠が何も言わず、帰りがけに

「ここは取材しろ」と小さな声で指示を出したことを今でも覚えている。

それから月日が流れ、『東洋経済オンライン』などで台湾・台北にある名古屋の飲食店を取材しようとリサーチしていたときに、あの『神楽家』が台北のSOGO忠孝店に出店していることを知った。

そして、『神楽家台北SOGO忠孝店』を取材することで、再び『神楽家』と、いや、社長の日下智重子さん(写真)とのご縁が生まれた。日下社長は名古屋商工会議所の会員であり、地域経済の発展のため熱心に活動もされていることから、会報誌『那古野』(現在は『NAGOYA』)の取材でもお世話になった。

そこであらためて『神楽家』の料理について取材をさせていただいた。料亭らしく、厳選した食材を走り、旬、名残と使い分け、見事に日本の四季を表現している。その中にもどこか遊び心というか、心が和むひと品を採り入れている。

しかも、味の濃淡や温かさ、冷たさなどで抑揚をつけているので品数が多くても決して飽きることがないのだ。それが料理長の川副広継さん(写真)の料理の特徴である。

さらに昨年の8月には、スマホカメラの撮影講座のオファーもいただいた。そこでメイク&フォトの相棒で、メイクアドバイザーの山村えり子さんや、東区泉『シアツドコロ Compass泉』の花井忠則さんと知り合うことができた。これも日下社長のおかげである。

先日、Web版の『おとなの週末』の取材でテイクアウトメニューを撮らせていただいた。いちばんリーズナブルなもので1000円から楽しめる。

「料亭が1000円の弁当なんて……」と、眉をひそめるヤカラもいるかもしれない。が、食べてから言え。1000円のお弁当に、それを作った人だけではなく、店の前で売る人やお弁当を売る決断を下した日下社長の真心がこもっているのだ。それは、実際に食べてみるとわかる。私は「焼魚と炊込ご飯弁当」(写真)をいただいたが、お弁当で感激したのは初めてかもしれない。

ほかの料亭と同様に、『神楽家』も接待利用が多いだろうから、新型コロナの影響をもろに受けていると思う。その中でやれることだけでなく、客が喜ぶことをも考えて、何よりも自らが楽しんで実行してしまうのが日下社長なのである。ちなみに弁当も社長自ら配達することもあるという。

「私しか手の空いている人がいなくて」と本人は笑うが、本当に頭が下がる。新型コロナごときでこんなすばらしい店を絶対に潰してはならない。

今、『神楽家』では、前売りの食事券の販売クラウドファンディングを行っている。是非、リンクを開いて詳細を確認してください。そして、存続のために是非とも協力してください。ちなみに私は食事券を購入いたします。皆様、よろしくお願いいたします。

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