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  • 執筆者の写真Masaki Nagaya

都築晃さん。


写真は、刈谷市にあるうどん店『きさん』の店主、都築晃さんである。彼とは2014年頃に雑誌『旅の手帖』の取材が縁となって、今では呑みに行く間柄となった。

『きさん』は、きしめんのルーツといわれる「いもかわうどん」が名物。きしめんのルーツはこれまで謎とされていたが、彼が文献を紐解き、また、想像を巡らせてメニュー化させたのである。

「いもかわうどん」は、麺が少し茶色がかっているのだが、これは小麦の表皮部分の「ふすま」が入っているためだ。健康志向でそうしたわけではない。昔は製粉技術が現代のように確立されていなかっただろうと推測してのこと。

言うのは簡単である。が、ふすま入りの粉を練って生地にして麺を打つ作業は、想像を絶するほど大変なのだ。それを毎日欠かさずやっているのである。さらには、

「当時は今のように交通網が発達していなかっただろうから、麺に使う小麦粉や調味料などほとんどが地元産なんです。できれば、三河産を使いたいんですけど……」と、語った。瞬時に私の“変態センサー”の針が振り切った(笑)。

やはり、物珍しさから「いもかわうどん」はよくメディアから取材のオファーがあるという。私なら来るもの拒まずで何でもかんでも受けてしまうところだが、彼は違う。番組のコンセプトと合わないと判断したらバシッと断ってしまう。本当に面倒くさいおっさんなのだ。でも、私はこういうヤヤコシイ人が大好きなのである。

で、昨日は夕方から岡崎市で取材があり、帰りに『きさん』へ寄らせていただいた。彼はどういうわけか、私のことを「世界のナガヤ」と呼ぶ。うっさいわ!世界どころか、日本どころか、名古屋でさえも無名だよ!と言いたいところだが、悪い気分はしないのでスルーしている(笑)。

彼は今でこそうどん屋の店主におさまっているが、もともとフランス料理の出身。しかも、王道の。初めて聞いたときは笑った(笑)。でも、凝り性だから、フレンチのシェフとしても大成したと思う。私はうどん屋の都築さんの方が好きだけどね。

おっと、話が逸れた。昨日はどうしても『きさん』のころうどんが食べたくて、夜の営業はやっていないのに頼んで開けてもらった。

これが、「ころうどん」。ツヤツヤの麺は、もう、見ただけで旨いとわかる。口に入れると、モチモチとした弾力があり、歯を押し返す勢い。少し遅れて小麦の香りと甘みがふわっと広がる。うん、やっぱり旨いなぁ。作り手は変態だけど(笑)。いや、変態だから旨いうどんをつくることができるのか。ややこしいわ(笑)!

都築さんは日本酒が大好きで、前に名古屋の名店『大甚』へ行ったことがある。その日は私も飲み過ぎてフラフラになって帰ったと思う。新型コロナが終息したら、また呑みに行きたいなぁ。都築さん、また行こうね。昨夜はご馳走様でした。

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